話し相手の若いカラスが、目をキラキラさせながら尋ねてきた。
「なあ。弥彦の鳥居と、熊野の鳥居って、どっちがでかいんだ!?」
「どっちがでかいって……」
「だから、どっちの背が何メートル高いとか、
どっちの柱が何センチ太いとか、
そういうのあるだろ?」
やれやれ、仕方の無いやつだ。
せっかく自分の翼で感じた大きさを、
何メートルだのセンチだのの単位で、包みあげてしまおうというのか?
鳥が、物事を気分で見られなくなったら、おしまいじゃないか。
「はじめて弥彦の鳥居に降り立ったとき………
それは、おれが熊野の神の使いとして、はじめて旅に出たときだった」
「つまりどっち?」
2017年8月15日