そでふり灯籠

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点灯と転倒Ⅱ*

加藤 護・日岡 惇
石灯籠の破損から歴史地震の強震動の特徴を推定することは可能か?
——北野天満宮及び石清水八幡宮における検討——

https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin/68/6/68_151/_article/-char/ja/

燈篭の倒れた方向や破損状況から
過去の地震について推定する(方向、断層、あとその場所の地質とか)、
という研究があるようなのですが、

その手法はどんな場所でも有効なのか?を
北野天満宮と石清水八幡宮で検証した論文です。
 
上の2社については、
・灯籠の破損方角がバラバラ
・破損個所は、灯籠の背部(見えにくいところ)に集中している
ことから、
(景観を守るため、または歴史的な事情のために、)
地震後、燈篭の向く方角や場所には改変が加わっている可能性が高いといえる。

よって、現状の石燈籠の破損方向から、
過去の地震について単純に推定するのは難しい場合がある、
というのが結論のようです。
 
 
燈篭って動かすことある?向きを変えることはある?という疑問にも答えてくれました!
 
 

 
 
もう一本、北野天満宮関連。

 
 

大邑潤三「文政京都地震(1830)における北野天満宮の被害記録と流言の検証」

https://core.ac.uk/download/pdf/60544871.pdf

文政13年、京都の大地震の
北野天満宮の被害/奇妙な噂について
多種類の資料からその実態を検討したもの。

※不思議な噂とは…たとえば
「北野天満宮の燈籠は残らず倒れた。」
「燈籠はみんな、辰巳の方向を向いて倒れた」
「廻廊内(本殿&拝殿)は少しも被害が無かった(燈籠は一本も倒れなかった)」
というもの。(へー。)

   

結論としては
・これまでの研究とも付き合わせ、
 「灯籠が南東方向に倒れた」といったうわさは信ぴょう性があるが、
  石燈籠の移動などもあり、現状から当該地震の影響のみを
  浮かび上がらせることは困難。
・「回廊内の被害は全くなかった」という噂は、
  おそらく周囲(土・石造りの建造物)の被害と対比させると
  軽微だった様子が、
  人口に膾炙する中で変化し極端になったもの。
・災害後には人々は混乱し(公儀も流言禁止令を出した)、
 噂も含めた情報を積極的に収拾・発信しようした。
 結果、北野天満宮に関する話題は広がり、記録も多く残った。

ということです。

ところで、
「鳥居が折れたのに立ってた」とか
「新規の灯籠がねじれた」という記録があるそうなんですが
・・・それは、どゆ状況?
 
 

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